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企業向け漫画に関して

 漫画というと人は基本的に書店で雑誌や単行本の形で売られているオリジナルの漫画を想像するでしょうが、その他にもいろいろあります。出版社の企画先行のハウツーものや、レポート的な漫画、学習漫画、企業向けの広告用や社内報用の漫画など。現在、自分の漫画で請けている仕事は、基本的にはオリジナル以外のジャンルの仕事がほぼ100%です。こうした仕事はまず企画、発注ありきということです。
 出版社と代理店経由の仕事の場合、大きな違いは2つあります。

それはギャラと担当さんの決定権。

ギャラ
 出版の場合はギャラは安め、といってもオリジナル漫画を描いている新人さんよりは若干良い値段ではあります。単行本で二次的な収益が見込めるような仕事とは違いやりきりになりますので、最初の発注時にいただくギャラで生活が成り立つ程度と考えると、高すぎず、安すぎず妥当な線でというところで落ち着きます。自分が今まで実際に請けてきた実績から考えた場合、版形やページ数にもよりますが、モノクロで雑誌なら1.5万円前後、単行本なら1万円前後が相場でしょうか。カラーならだいたいその1.5~2倍。
 これに対して広告の場合はその2~10倍程度のギャラということになります。幅があるのは担当さんの決定権との絡みもあるのですが、これは後述します。その他は著作権使用料の絡みです。広告などは、さまざまな媒体に広く配布されるものです。また使用目的も大雑把なくくりでは広告と言えますが、雑誌広告やチラシ、ポスター、パンフレット等、再利用の機会も多く、本来の著作権法からすると、その都度使用許諾をとるべきであり、使用料がかかるはずですが、これは手間や費用を考えると現実的ではありません。ですので、正式な契約書を交わさない場合でも、使用範囲を大きめに見積もった料金になるという考え方です。これに加えて、バッティングを嫌う業種の場合、半年から1年程度は同業他社の仕事を請けないようにする必要もあります。この辺の独占的な契約に関しては明確な取り決めがなされないことも過去は多かったのですが、まあこれだけのギャラを出すんだから言わずに察しなさいね、というようなものでもありました。今だったら契約を交わして明文化した方が良いでしょうね。このように使用形態の違いに応じて、小さなところの社内報等は出版の2倍程度~大企業の広告なら10倍程度と言った価格の開きが生じるわけです。

決定権
 出版の場合、よほどのことがない限り、直接の担当さんとその上司くらいのチェックですみ、リテイクがあることはほとんどありません。医療関係など、厳密性を求められるものは若干チェックが厳しいとは思いますが、事実関係のチェック程度です。何か問題があっても、決定権をまかせられた担当さんとの直接のやり取りでスムーズに済むので、この点で苦労することはあまりありません。
 これに対して企業向けの仕事の場合、決定権を持つのは基本的にはクライアントの内部のどこかで、その間のチェックポイントは間に挟まっている代理店にもあるということになります。これがときとして状況をたいへんややこしいことにすることになります。

 ケースに分けて考えてみましょう。

ちゃぶ台返し
 簡単な直しなら良いですが、クライアントが完成後にいきなり構成を変えろと言ってくるような場合もあります。デジタルだから簡単?そんなわけありません。ほぼ全部描き直し。
 間に立つ代理店が1社できちんと仕事をする企業なら、シナリオ、絵コンテ、下描きの各ポイントできちんとクライアントレベルのチェックをしてフィックスしますから、おおむね問題ない話ですが、大きいところの仕事の場合、間に何社も代理店が挟まっていたりして、最終納品の際にしかクライアントのチェックが無いなどということもあります。それならば、制作側は最初の設定料金に修正料を含んでマージンを多めに取っておくか、リテイク料は別料金設定にすれば良いとも言えます。かつてはそうでしたが、最近は川上の料金が激減で、川下の制作会社はギリギリでまわしているところが多いと思われます。一方、これは昔も今も変わりませんが、広告代理店の多くはかなりの中間マージンを取っています。これが何社も重なると最終的には元値の10分の1とか下手したら何十分の1の値段で制作側は請けることになります。元値がじゅうぶん高かった時代ならいざ知らず、未だにこのようなシステムでまわした場合、川下の制作会社は最悪3万とかで請けて漫画家には1.5万でおろすようなこともあります。
 クライアント側は広告費を削ったにせよ、それでも1枚ン十万払ってるんだからリテイクは当然と思っているかもしれませんが、その金額の大半は中間で消えてしまっています。そんな状況で制作会社がリテイク料を負担することはきついことは理解できます。元請けの代理店はその数倍の料金を取っているし、仕事量的には制作会社に比べて同じか少ないくらいですので、リテイク料を出してもたいして腹は痛くないかもしれません。またクライアントからリテイク料をとっても良いかもしれませんから、リテイクが発生した際には代理店がきちんと交渉すれば良いようにも思いますが、最近の代理店や制作会社は上と交渉をする能力がない場合もあります。こうした中間業者の場合、双方向のディレクションという概念がありませんから、こちらが何を言っても上には通じません。いくら言葉を尽くして説明してもいい加減どうにもならない場合は、こんな低料金でそれは無理ですから、やめときましょうか?となるときもあります。そうなって初めて本気で考えたりしますけど、これをやっちゃうとかなりお互いに気まずくなります。次の仕事はないと思った方が良いので基本的には避けたいことです。
 このような経験を何度もすると、さすがにこちらも用心深くなります。最近は新規の依頼をお請けする際、こちら側としては制作会社より上の状況に関しては判断不能ですので、安い値段を提示された場合は、各工程でクライアントのチェックを取ってフィックスするか、それが無理ならリテイク料は別にしてくださいと提案することにしています。これは先を見越しての提案にすぎず、そんなに無茶なことを言っているつもりはないのですが、交渉能力の低い制作会社、もしくは担当さんはびっくりするようで、たいてい嫌われてそれっきり話が流れたりします。言いなりになる人としか仕事をしないということでしょうか。それ、結局いつかどこかで破綻すると思うんですけど…。
 もちろんちゃんとした制作会社や担当さんの場合は、無茶なちゃぶ台返しのようなまずい状況になったときに、きちんと双方の間に立って考えていただけますので、そもそもこうした問題はないのです。

船頭多すぎ
 企業によってはなにかにつけ、会議で決定する場合もあるようです。この場合、何か意見を言わないとまずいかも状況が発生します。自分ではたいして問題ないと思っていても何か言わないと存在感が示せない。そこで無理矢理なんらかの修正点を出してしまう。まあ1回なら良いです。これが各工程ごとに何度もいろいろな人の感覚を織り交ぜて繰り返されると、最初に通ったことが後でダメになったり、1回転して最初に戻ったり、わやくちゃになります。また、出た意見をその場できちんとすりあわせずにこちらに投げられると、結果的に二律背反する要素が平行することになっていたりすることもあります。
 これに対してはこちらでどうこうすることは非常に難しいです。こちらにしても、だいたい仕事を進めているうちに気づくたぐいの問題ですから、もうそうなったらあまりいい結果を生まないのを自覚しつつ、ギャラで納得するしかないでしょう。中間に入った担当さんがうまく調整してくれる場合もあります。そんな担当さんとお仕事ができた場合は、多少いやなことがあっても、救われる部分があります。

決定権を持つ企業側担当者が自分の好みにうるさい場合の例。

著作権的に微妙に問題ありそうな要求をしてきてしまう
 ○○先生と同じタッチにしろとか、もめておりた前任者のタッチとそっくりにしろとか。いやそりゃタッチ自体には著作権はないですけど、さすがに企業なんだからクレームついたらまずいでしょ。その辺は間に入った業者が説明してくれると良いのですが、たまにコンプライアンスに無頓着な業者もいるので、そんなときはこちらが気をつけた方が良い。それでその辺を説明したりしますが、じゃあほかの人に頼むから良いですってなってしまうこともあります。これも先に述べたように間に何社も入って意見を上に上げることができないような状況かと想像できます。そんな無茶な仕事の進め方はまずいと思うのですが…。

本来の目的から大きく外れた要求をしてくる
 下手に漫画好きの担当さんの場合、ここにこのギャグ入れろとか、ストーリー展開とかのネタの部分に絡みたがることがあります。こっちは全体の構成を見て、目的に沿った筋立てにしているので、ネタの部分はほっといてほしい。凝ったストーリー展開などにすればそれだけページ数もかさむし、本来伝えるべきテーマもぼやけてしまうこともありますし。まあどうしてもと言われて、それで気が済むならこちらもごねるところでもないので言う通りにはしますが、構成で一旦OKが出た後にやられるのはつらい。また、ギャグの場合、企業的にやったらNGなこともあるのであまり冒険はしないにこしたことはありません。その辺は後でどうなっても知らないよってわけにも行かないので、まずかったら指摘しますけど。
 まあこの場合は言われた通りにやれば良いとも言えるので、仕事としては多少納得はいかない部分があっても、問題自体は少ないとも言えます。

 他にもいろいろありますが今回はこんなところで。個人的な好みを言えば、出版の方が気は楽なので好きではあります。企業関係の場合はやはりギャラ次第ということにはなってきます。多少の不条理はギャラで納得する場合もありますし、あまりギャラが出せないということなら手順をきっちり整えることで解決。手順が整ってスムーズに事が運ぶなら、出版とそんなに変わりない感覚で仕事をすることもできます。

過去のサンプルがご覧になりたい方、お仕事のご依頼はこちらまで。

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  1. 2012/02/14(火) 03:43:29|
  2. 仕事
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